司法書士の中平彰(なかひらあきら)です。
①今月の出来事
「体験 ~再就職希望者のインターンシップの受入れ~」
10月下旬に5日間、障害者職場実習の受入れを行った。都の支援事業の一環であり、正式名称は『東京都離職障害者職場実習事業』といい、首都TOKYO障害者就労支援行動宣言の行動5「企業等での訓練・実習の場を拡充します」に基づいた事業です。
この実習の目的は、
①障害者に企業で働く体験を通して自信を回復することで
再就職につなげる
②中小企業における障害者雇用を促進する、である。
段取りは、事前に受入れ予定者の面談、就労時間及び具体的な作業内容の取り決めを行いスタート。
面談の結果、今回は2名の受け入れとなった。受け入れに際して、当事務所の業務で携わって頂けることがあるのかが疑問だった。早速業務の流れと作業を洗い出し、細分化してみた。細分化の結果、直接成果をあげる業務以外の作業が多いことに驚いた。
例えば、名刺の整理・シュレッダー・コピー・書類の綴込み・PDFの読込み・パソコンを使用した年賀状の打込み等が業務の流れから切り離して依頼出来る作業であることが解った。
現在殆どの会社や事務所ではコンピュータを使用しての業務が定着しており、外見的には個々が仕事の着手から完了までを行っているように見えるが(私も当初そう考えていた)、実際の日常業務では、本来成果をあげるべき業務以外の作業に多くの時間がさかれておりまたその作業を職場の誰かが行っている事実に気づく。
業務の流れを細分化することにより、今回お手伝いいただいた方たちにも充分に力を発揮して頂くことができ、また受入れ会社でも正社員又はパート等で事務の効率化も図れると感じた。
そして無事5日間の研修を終了、お互いに得るものが多くとても良い経験となった。
教訓…考えることも大切だが、
行動に移して始めて得られるものもある。
②今月出会った本
ドラッカー・ディファレンス(クレアモントの授業)
東洋経済新報社 (共著)
最近本屋のビジネス書コーナーを覗くと、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」をはじめドラッカー(2005年に永眠)の本が多数ならべられている。
私も過去に何冊か読んだことがあるが、改めてなぜ今ドラッカー本が人気なのか?
全部の本を読むことも出来ないので、全体を知ることを目的としてクレアモント大学院の連続講義をまとめた本書を読むことにした。
講義は、2007年に作成されたプログラムであり、ドラッカーの所説で、特に組織と個人についての知的遺産を継続することを目的としたものである。
構成は9章よりなり
第1章 教養としてのマネジメント
第2章 ドラッカーならば何と言うだろうか
第3章 知識時代のリーダー
第4章 企業も目的は何か
第5章 企業戦略の適否診断
第6章 ソーシャルセクターの世紀
第7章 「すでに起こった未来」の探索
第8章 知的労働者のためのセルフ・マネジメント
第9章 ドラッカー・マーケティングの原点
いずれの章も興味深いが第1章と第4章を取り上げてみたい。
第1章で、いきなりマネージメントは教養である(教養を持ち出されると中平はアウトである)と書かれている。マネージメントの地位にある者は、心理学、哲学、経済、歴史など人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけ、人間性、価値観を理解し「損得の観念」ではなく「善悪の観念」が必要と述べている。
昨今の企業破綻の原因の一端に、損得の観念を優先したためにおきた事件も多いように感じる。そして企業幹部の過剰報酬に対して警告をならしている(実際ウォールストリート・ジャーナルの2007年の調べでは、アメリカ企業のCEOの平均年間取得は、一般社員の180倍を上回ったそうである)。
経済学上、人間は何処までも合理的で、利己的な目標を追求するにあたっては何処までも貪欲になるというのがある、だからこそ意識をして善悪の観念を身につけていくことが大切ではないか。
第4章でドラッカーは、組織とは社会のため、人のために存在するものと考え、そのことを企業の目的しなければいけないと考えており。
「目的は企業の外になければならない。実際、企業が社会の一組織である以上、その目的は社会の中になければいけない。企業の目的として有効な定義はただ一つ、顧客の創造である。顧客が企業あり方を決める。」
?・・・ 正直よくわからないが、企業の目的が組織の戦略に影響し、意思決定を左右し、また従業員の意欲にも影響する、最も根元的な問いであるということか。
現在の企業の破綻を見ていると経営者・企業が「利益の追求」正確には「株価の最大化」を企業の目的としているためだと…利益を目的とすると、最大利益を求めることになるが、手段とすれば適正な利益水準を求めることになる。やはりキーワードは、損得の観念ではなく善悪の観念ということになる。また、企業における効果的なリーダーシップの中心は、企業活動のために、有異議かつ包括的な目的を定め、推進し、守ることである。
企業が従業員のために意味と満足感と働きがいを有する共通の目的を設定し、企業がその目的への筋道となれた時のみ、従業員を目的に関係させることが出来る。
やはり経営者は矛盾するもの(答えの出せないもの)に答えを出していかないといけないのだから、難しい。最終的には経営者が会社の存在理由をあげ、目的・目標そして方向性を明確に打ち出すことだ。
物理の法則のとおり同じ方向に一点集中した力は莫大なエネルギーを生み出す。(投網で網の中の大量の魚が一方の方向にいっせいに動いたため船が沈んだという話を聞いたことがある)そして、すべての決定の出発点が、善悪の価値観を基にし、顧客の創造を前提にしていることが大切であると思った。私も、再考してみたい。
③今月の業務
最近、親子・兄弟会社の企業再編(特に合併)の依頼が多くみられる。
相談案件
甲社 (存続会社) 乙社(消滅会社)
資本金 1億円 2000万円
発行済み株式数 2000株 400株
合併比率 1対2・5
消滅会社の株主資本
資本金 2000万円
利益準備金 500万円
利益剰余金 4000万円
前提条件
1.甲と乙は同一企業グループでの共通支配下関係にあり、
支配者を同じくする兄弟会社である
2.少数株主がいる
3.対価はすべて甲株式である
4.簿価取引である。
会社側作成
合併契約書抜粋
(増加すべき資本金)
第○条 甲が合併により増加すべき資本金等の額の取扱いは、次のとおりとする。
ただし、効力発生日の前日における乙の資産及び負債の状態により、甲及び乙が協議の上これを変更することができる。
(1)資本金の額 5000万円
(2)利益準備金の額 500万円
(3)その他利益余剰金の額
1000万円
当方提案
(増加すべき資本金及び準備金の額)
第○条 甲が合併により増加すべき資本金等の額の取扱いは、次のとおりとする。(ただし書き以下同じ)
(1)資本金の額増加しない。
(2)増加すべき資本金の額以外
の事項は、会社計算規則に従い甲が定める。
提案理由
気になる点は2つありました。ひとつは、会社計算規則35条2項によれば利益剰余金の額は変動しないはずですが、本案ではそれが計上されていること。次に、資本金を増加する明確な意図はあるのか、という点です。合併契約書を確認していると、こうした合併の計算に関する取り扱いについて疑問に思うことが少なくありません。
本件では、担当者に確認したところ、できれば資本金は増加したくない意向だったため、資本金を増やさない会計処理の提案を行いました。結果として、登録免許税が20万円程度節約できます。現在手続きの進行中です。組織再編は検討課題が沢山あり、特に法定公告の失敗は後日の対応が難しく、再編計画自体が中止となってしまうおそれがあります。また、
会計処理の方法についても十分検討する余地があります。
当事務所では組織再編で多くの実績があり、登記申請のみに止まらず、再編計画の内容に関してもご提案していきたいと考えています。今後もさらに職務に励んでいきますので、乞うご期待下さい。 |