司法書士の中平彰(なかひらあきら)です。
①今月の出来事
「プライバシーマーク更新」
本年12月二回目の更新時期を迎えた。平成18年12月司法書士事務所として第1号の登録を受けてから二年に一度の更新の年を迎え、更新の年はいつも半年前から対応に追われてしまう。
プライバシーマーク制度は、個人情報の取り扱いを適切に行っている事業者を、第三者機関である(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC)及びその指定機関が評価・認定し、その証としてプライバシーマーク(以下「マーク」とする)と称するロゴの使用を許諾する制度で、平成10年4月にスタートしています。尚現在はJIS Q 15001:1999(個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項)が、平成18年5月20日(公示は22日)に、JIS Q 15001:2006(個人情報保護マネジメントシステム要求事項)として改正されている。
そもそも当事務所がマークを取得する必要に迫られた理由は、大量の個人データを預かる必要のある業務(動産・債権譲渡登記)を受託することとなったためである。これは、例えば住宅ローン債権の流動化の場合、金融機関Aが融資した個人(1千人)の債権総額150億円を売買(原因を信託とすることもある)した場合、一定の要件を満たしたデータをファイル化し登記申請時に持ち込む必要があるため、瞬間的ではあるが千人の個人情報を持つことになるため、金融機関等から、当事務所でのデータ仕様の説明書(データ処理・管理・保管の手順書及び各体制)の提出を求められたことが数度有り、担当者に確認したところ、マークの登録業者になるとその事実を持って仕様説明書の提出は不要という話を頂き、取得することとなった。
実際に導入してみると事務の流れの中でそこまでやるのかということも多々あり、制度維持のための作業が増え従業員のストレスにもなっていた。また当初、仕事でお会いする個人の方に制度の趣旨を説明、署名をいただくのが結構大変だった。また現在と違いマーク取得当初の平成18年頃は不動産登記のオンライン申請の手続きが煩雑だったため、全国各地の登記申請を各地の司法書士に依頼(復代理申請という)しておりましたが、復代理申請を依頼する司法書士からは、「業務に関する秘密保持契約書」をいただく必要があったが、殆どの先生より問い合わせをいただき、中には書類に署名しない、お宅の仕事は今後受けないとお叱りを受け、結果として復代理申請を必要とする取引先の仕事をお断りすることになったこともありました。
現在ではある程度認知された制度ですが、当時は殆どなじみがない制度でした。また費用対効果等トータルで考えると・・・マークの更新基準が厳しく、更新出来るかどうかは?
教訓…あまり先を走り過ぎると受け入れられないこともある……
②今月出会った本
「チャイナマネーを追え!円高危機 をチャンスに変える資産防衛」
(総合法令出版 株式会社)
奥村尚樹著
エピローグ
「チャンスは万人に与えられている。チャンスと気づいて行動をおこすかどうかで、その人の人生が変わる仮に失敗してもチャンスに挑戦しなかった後悔よりはましだ…」
先月下旬MDクラブより推薦図書が届いた。「日本破綻 その日に備える資産防衛術」藤巻健史著、早速読んでみた。経験・データ・統計・数字等裏付けられた客観的に判断出来る情報により、現状の日本の財政危機の状況が手に取るようにわかり読み終わって恐ろしくなった。
恐ろしくなったが何をどうすれば良いか?
そんな折り野本先生より中国や東南アジアをはじめ世界の不動産投資についての現役プレーヤーである著者の奥村さんとお会いする機会をいただいた。仕事でも中国人が日本国内の不動産を購入する手続きについての問い合わせが何回かありタイミングもピッタリであり、具体的な対策を学べると考えた。(注 中国に投資しろという本ではなく、中国のお金が何処にどう流れるかをみることが今後の世界をみることになるという話であると思う←中平の感想)
今回は、個々が言葉より連想してイメージを広げて欲しいと考え、本の中から言葉だけを拾うことにした。
・発想を変える時期にきている
・長期的な展望に立った投資を
・日本で円ベースの資産持つこと自体リスクである
・円を海外に持ち出す勇気
・円高の今が海外投資には最高で最後のチャンス
・キーワードはチャイナマネー
・凄まじい歴史を生きぬいた中国人は、
我々日本人とサバイバル本能というか逞しさが違う
・将来も混乱が起こる可能性があると肝に命じている中国人と、
豊かになる過程で自分の身は自分で守ることを忘れた日本人
・日本のバブルは金融当局の失敗よるも、中国のバブルは
本物の経済成長、根本的に質が異なる
・中国人にとっては、貧富の差はむしろ活力源となっている
・中国では不動産を買って得られるのは、土地建物の所有権
ではなく建物の所有権と土地の使用権である土地は国のもの
そして海外不動産投資として、いくつかの国が紹介され、
入門編としてマレーシアが推奨されている。
具体的な推薦理由、タイミング等について詳しく書かれており、さすが現役プレーヤーであることが伺える。何となく、全員が何らかの危機感や不安を抱いているのではないかと思う、情報は氾濫しており知識は豊富になる。物事は「直接的な行動」によって物資世界の対象に影響を及ぼし、「自己の思考」によって、そこにはまだないものを現実化させるそうである。チェンジマインドそしてアクティブ。
③今月の業務
「年内に間に合わないと許可がパーになる」
毎年この時期になると急ぎの仕事が急に増える、例えば節税関係?の不動産の「売買・贈与」等である。今回の相談は今までとはチョット違った。
11月末、不動産処分を伴う会社分割の依頼があった。
案件の概要
①現在ホテルを数カ所で経営する株式会社A社は、
業務の合理化を図るため、1カ所のホテルの事業を不動産を
含め売買したい。
②売却予定ホテルは改正前の風俗適正化法4号営業ホテル
(ラブホテル)である
③来年の1月1日に新風俗適正化法が施行され、1月31日までに
既得権営業届けを提出しないと、①の売買が出来なくなる、
そこで①の売却の前提として年内に吸収分割又は新設分割を
完了したい。
問題点
①通常の会社分割(新設及び吸収)では日程的に無理である。
債権者のための公告の手続きを入れると最低でも45日ぐらいは
必要。
②営業許可、許認可等は、分割元や合併消滅からは原則引き
継げないが今回のケースが例外かどうか判断出来ない。
③②の件につき不動産の該当地区の保健所と警察との
事前打ち合わせが必要であるが、行政書士でも難しい案件で
ありあまりにも時間がなさ過ぎる。
仕事受託
②については、免許・許可の引き継ぎは出来ない旨の確認がとれた、
但し今回の改正時には特例として、現在営業を行っていることを
条件に一定の届出により既得権(引き続き営業を認める)を認める
確認が取れた。
③については、依頼人の方で対応することになった。
そこで、依頼人に年内(それも24日までに登記完了)に
会社分割の登記の完了をすることを大前提に重畳的債務引受に
よる新設分割を提案した。
提案理由
1.通常の会社分割では日程的に不可能である。
(公告申込みは掲載日の10営業日前、掲載に一ケ月)
2.日程的に打ち合わせ時間も限られるため一社で
手続きが完結する新設分割を選択
3.そしてポイントである、債権者異議公告の不要な
「重畳的債務引き受け」による分割を提案
重畳的債務引き受けとは、債務を引き受ける側が、従来の債務者とともに連帯して同等の債務を負担するもので引受者と従来の債務者は連帯債務者の関係になる、債権者は従来の債務者、引受者のどちらにも債権を有することになる。(よって、債権者の権利が保全されるため、債権者異議公告が省ける)
契約書の雛形抜粋
第三条(新設分割設立会社が当社から承継する権利義務に関する事項)
1.新設分割設立会社は、その成立の日に、当社から別紙2「承継権利義務明 細表」に記載のとおりの資産、債務その他の権利義務を承継する。
2.前項の規定による当社から新設分割 設立会社への債務の承継については、 重畳的債務引受の方法によるものとし、本件分割後当社が新設分割設立 会社に承継させた債務につき、当社及び新設分割設立会社は連帯債務者としての責任を負う。
組織再編では日程に拘束されることが多く注意が必要である。
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